2009/06/25

シェルブールの雨傘 (1964年)


珍しいフランスのミュージカル映画。ジャック・デミー監督の作品で音楽はミッシェル・ルグランが担当しました。当時20歳のカトリーヌ・ドヌーヴに美貌に世界中が魅了されました。



フランスでは「ミュージカルは当たらない」と渋るプロデューサーたちが多い中で、お金を集めるのは大変だったようです。このミュージカルはすべてシャンソンで「台詞がひとつもない」というのもユニークです。

ラストシーン。クリスマスのガソリンスタンドで数年ぶりに二人は再会します。。。

この世界的にヒットした『シェルブールの雨傘』は、ミュージカルという事もあって「二人の男女の恋とその終わり」という一見軽い作品のように思われます。でもこの映画の根底は『反戦』をテーマにしたもので、時代は1957年から63年。アルジェリア戦争の時期と一致します。はじめての徴兵制度で直接戦争の現場に駆り出された若者が沢山いました。まだフランス領だった現地でのフランス兵たちによる「拷問」が未だに歴史的に解明されておらず、60年の高度成長のフランスの社会の裏腹にこの『植民地戦争』は現代のフランスに未だに暗い影を落としているものです。
勿論このころに反戦をテーマにした作品は沢山ありましたが、その殆どの作品が国の検閲を通らず公開されるまで何十年の歳月がかかりました。そんな中でこの『シェルーブールの雨傘』は問題なく検閲を通り、世界的なヒットまでになりました。
アルジェリア戦争の最中に構想を練りだし脚本も書き始めたデミィ監督の政治的意見は、華々しいミュージカルの奥に沈めながらも当時の20歳の若者たちの悲劇を見事に表しています。。。

0 件のコメント:

コメントを投稿