2010/12/31

スケーターのいる風景(鳥罠)/ピーター・ブリューゲル

った川の上で遊ぶ子供達を描いた、ピーター・ブリューゲル(父)の1565年の作品で『鳥罠のある風景』とも呼ばれてます。ベルギーの王立美術館にあります。小さい絵ですが、描かれてる空間は吸い込まれるように広く、冬の冷空気が伝わってきます。そして遠くに子供達が楽しく騒ぐ声も聞こえてくるようです。この絵はブリューゲルの子たちが描いたバージョンが沢山あり、その数は130を超えます。ブリューゲルは『冬の風景画』の父といわれ彼以降、フランドル地方やオランダでは重要なテーマになります。

2010/12/19

巻き菓子のある静物画

フランス17世紀の画家リュバン・ボージャン(Lubin Baugin)の若い頃の筆によるものです。彼の静物画はホントに数少ないですが、ルーブル美術館にある二点のうちのひとつです。彼の静物画が大好きです。テーブルにあるのはワイングラスとボトルとお皿の上にある巻き菓子(gaufrette)でごく単純な構成です。テーブルの左端の角は額縁にぶつかりテーブルクロスの前面がこの絵の面と同じなことを暗示しています。そしてそこに影を落とす銀の皿は絵から飛び出し、そこにある「巻き菓子」が我々のすぐ目の前にあるかのようです。。。

2010/12/17

ティッティーナ / モダン・タイムズ(1936年)

チャップリンの名作『モダン・タイムズ』の一場面。

チャーリーは色んな仕事を浮浪少女と転々としたあと居酒屋でウェイターとして働きだす。そこで客の前で歌を唄うはめになり、歌詞を思い出せない彼に少女がカフスに歌詞を書いてくれる。
しかし。。。

2010/11/15

『キャット・ピープル』Cat People 1942年

ジャック・ターナー監督の作品で『B級映画』の傑作として有名です。製作はヴァル・リュートン。たった3週間で撮影されました。低予算という条件からくる無駄のない演出が功をなして大変な反響をもたらします。
RKO社幹部から「猫人間」について映画を作れと命じられたリュートンは、既に一緒に仕事をしたこともあり、友人であるターナーを監督に選びます。 面白いのは、この時点でポスターが出来ていて反響を探るために発表されており、その後にシナリオを書き出した具合で、それも脚本家と共に監督はもちろんプロデューサーやその秘書なども参加して共同で書き上げられたそうです。。。

2010/11/09

道化師と共に(1997年)イングマール・ベルイマン

時は1925年、精神病院で治療を受けている発明家カールはいつも病棟でグラモフォンを回してシューベルトを聞いている。そんな彼の前に「道化師」が現れる。名前はリグモール(Rig-Mor)。
この名前はRigor mortis(死後硬直)にモジられて「死」を表しています。
リグモールは女性で、彼は彼女に襲いかかる、「私の尻にぶち込んで!」とさけぶ彼女に従い後ろから激しく突き上げるカール。。。

You Will Meet a Dark Stranger / ウッディ・アレン (2010年)

今回の作品も彼らしくドタバタ・コメディーといった感じでした。
仏題は「Vous allez rencontrer un bel et sombre inconnu」です
40年間人生をともにした老夫婦が離婚するところから始まるのですが、「老いる」ことを拒む夫アルフィはコールガールで女優(?)のチャーメインに恋をする。アンソニー・ホプキンズが好演。彼にしては珍しい役です。
一方妻ヘレナは別れたあと娘に勧められて行った占い師に「あなたは黒い服を着た謎の人物に会います」と予言される。以来ヘレナは占い師の処に入り浸りになります。
娘サリー(ナオミ・ワッツ)は「占い」は勧めたものの、どんどんオカルトの世界にのめり込んでいく母が心配になっていくのですが、自分自身の生活も混乱してきて、それどころではないといった感じです。

2010/10/11

アルノルフィニー夫妻像

フランドルの画家ヤン・ファン・エイクの代表作と言われてます。1434年に描かれたもので、長い間スペイン王室のコレクションにありましたが現在はロンドンのナショナルギャラリーにあります。
油彩画の技術はファン・エイク兄弟が発明したと言われてますが、この作品はそれを証明する最も有名な作品です。板パネルに描かれていて、顔料はそれまでのテンペラ画のように卵白ではなくリンシード(麻)・オイルで練られています。画溶液は松脂から精製されたテレピン油が使われているのですが、今日もこれと全く同じ材料で「油絵の具」が作られています。

La Tempesta / 嵐

ジョルジョーネの油彩画で1507年頃に描かれ、題名は『嵐』と呼ばれています。僕の最も好きな絵の一つです。大きさは、高さ82cmに幅73cmの小さな作品。ヴェニス絵画で最も重要な作品であると同時に、これはアカデミア美術館にある沢山の絵の中で、もっとも不思議な作品かもしれません。何故ならこの絵のテーマが未だに謎なのです。

2010/09/23

キリストの洗礼 (1472-75年)

ルネッサンスの巨匠であるヴェロッキオ(1435−1488)の作品『キリストの洗礼』(油彩、パネル)。 言い伝えによると、この絵を最後にヴェロッキオは絵筆をとるのを止めたそうです。

2010/04/12

MISTER HEARTBREAK 1984年

先日ヴィレットで、ローリー・アンダーソンのパフォーマンス&コンサート『UN DELIRE』を観にいって感激したあと、ホント久々に彼女のCDアルバムを箱から出してきました。

2010/04/07

復活 La Resurrezione


ピエロ・デラ・フランチェスカの大作ですが1463年から65年にかけて描かれました。トスカナ地方の小さな街サンセポルクロにあります。第二次大戦終盤にアメリカ軍がイタリア爆撃の際、教会に会った数多くの壁画が破壊された中、この絵は奇跡的に助かっています。その理由は小説家アドルス=ハクスリーがその旅行記でこの壁画を「世界で最も美しい」と書いており、ハクスリーを愛読していたクラーク将校がその破壊を阻止したそうです。やはりペンの力は偉大ですね。




2010/04/01

タルコフスキーの最後の6分間

狂気に陥った主人公アレクサンダーが自分の家に火をつける。
タルコフスキー監督の最後の作品のラストシーンです。映画史上もっとも美しい「ワンシーン・ワンカット」の一つと言われてます。 日本語では「長回し」とも言うこの撮影技術は35ミリカメラの中に入るロール・フィルムの長さの限界が当時のカメラでは6分間。 その間はカットなしの演出です。この技術で有名なのは溝口健二監督でタルコフスキーは彼の作品をこよなく愛していたそうです。
それに、ここではカメラをレールに乗せて左右に移動させながらのトラッキング撮影でこのシーンを撮りました。そして悲劇が起こります。

2010/03/27

悲しみの青春(1971年)

G・バサーニ原作Il giardino dei Finzi Contini 「フィンツィ・コンティーニの庭」をイタリア映画の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が映画化したものです。殆ど語られる事がなかった戦時中イタリアでのユダヤ人迫害をテーマにした貴重な作品です。

イザベラ・デステ(1474−1539)

ルーブル美術館所蔵のこのデッサンはレオナルド・ダヴィンチがイザベル・デ・エステをモデルにして描いたものです。『モナ・リザ』はジョコンダ夫人ではなくイザベル・デ・エステであろうと唱える専門家も数多くいます。たしかにポーズや手の組み方とかおでこのカーブとか共通するものがありますね。。。




2010/03/13

君に逢えてなかったら。。。

Que serais-je sans toi
ジャン・フェラが20世紀のフランスの偉大な詩人ルイ・アラゴンの詩に曲をつけて唄ったものです。愛を唄った最も美しいシャンソンの一つと言われている曲です。
はじめて僕に「シャンソン」というポピュラーな芸術がこのような高貴な詩情を表現できることを、知らしめてくれた歌でした。以後長い間、この曲は僕のフランス語の先生のようなものでした。。。今聞いても鳥肌がたちます。







2010/03/11

いつものように。。。Comme d'habitude


今日は朝からラジオで何度も、クロード・フランソワの歌『いつものように』Comme d'habitudeが流れてました。彼の死後30年以上になるというのに、いまだ彼のファンは沢山いて、ラジオ・テレビでの彼の特集番組はよく企画されます。僕は子供の頃に彼が日本語で歌った『ドナ・ドナ・ドーナ』を口ずさみながらた学校の帰り道を歩いた記憶が鮮明に残ってます。。。


『いつものように/Comme d'habitude』はジャック・レヴォーの曲にクロード・フランソワ自身の案で作詞したものです。
そしてデビューして間もなかったダヴィッド・ボウイが最初の英訳を手がけて出したものの、ボウイ自身が発言してるように、あまりいい訳とは言えなかったそうです。
そしてポール・アンカが、この歌の英語訳の権利を買い『マイウエイ』が生まれます。そして、それをアンカは晩年のフランク・シナトラに提供し、世界中で大ヒットします。
晩年に人生を振り返りながら、自分が歩んだ道に悔いはないという内容です。名曲と言われ日本でも沢山の大物歌手が歌ってましたよね。
でも原作はまったく別の曲なんです。

2010/01/25

シネマトグラフ(Cinémathographe)


ラ・シオタ駅につく汽車 
L'Arrivée d'un train en gare de La Ciotat (1886年)
リュミエール兄弟がパリのオペラ座にあるの「グラン・カフェの地下」で有料で公開された映画です。この観客に向かって飛び出すような汽車の映像はたちまち噂にになり大変な人気を呼び、ついに第七芸術と言われる『映画』シネマトグラフィが誕生しました。








テアトル・オプティック(Théâtre Optique)1982年


フィルムに穴をあけて回転しながら送るというシステムを考えだしたことから「真の映画の発明者」とも言われるエミール・レノーが1982年からパリのグレヴァン蝋人形美術館で公演した「テアトル・オプティック」の中の作品です。当時はかなりの人気だったそうです。リュミエール兄弟が『映画』(Cinémathographie)を発明して上演されるようになるまでは、この『ひかるパントマイム』と呼ばれたレノーのアニメーションはグレヴァン美術館の人気イベントでした。


哀れなピエロ(Pauvre Pierrot) 1892年



脱衣所の廻りで (Au tour d'une cabine) 1894年



2010/01/10

マルモッタン美術館

リの西にあるマルモッタン美術館にあるモネの作品コレクションは素晴らしいです。「印象派」という彼らの絵画運動の名前の原因となる上の作品『日の出の印象』もここにあります。『睡蓮』のシリーズのなかで大作と言われるのも何枚かあります。


2010/01/09

La Pie(カササギ)1869年


クロード・モネのオルセー美術館にある小品ですが、彼の初期のものなかで最も好きな作品の一つです。当時の『官展/ル・サロン』の審査員には「光の印象を追っただけ」といことで全く理解されず、落選しました。この絵の前に立つといつも感動します。眩しい光に反射してそれが七色に微妙に映ろう白い雪が美しいのと同時に、それを表現する白の絵の具のヴァリエーションが見事です。