2009/06/19

聖ウルスラの夢


ヴィットーレ・カルパッチョの「聖ウルスラの生涯」を描いた大作シリーズの中に、「聖ウルスラの夢」という一枚の不思議な絵があります。このシリーズの中では一番小さい絵です。
部屋の入り口に立つ天使が、赤いベッドに眠るウルスラの寝顔を見つめてるというだけのシーンですが、他の絵は伝説通りのストーリーが描かれているのに対し、この一枚だけは画家の想像したシーンだと思います。
それまでに美術史の中で「夢」を描いた作品は殆どないといっていいほどで、この時間が止まったような瞬間を描いたカルパッチョという画家のモダンさに驚かされます。そして部屋の扉はすべて開いているのが意味ありなような感じがしますね

ヴィットレ・カルパッチョ
聖ウルスラの夢、1495 - 1500
テンペラ、キャンバス、274cm x 267cm
アカデミア美術館、ヴェニス

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