2009/12/15

市民ケーン(1941年)

大きな城館の一部屋で一人の男の手から『スノーグローブ』が床に転がり落ちる。
男は『バラの蕾(Rosebud)』と一言つぶやいて息をひきとる。。。
映画史上最も重要な作品のひとつと言われている、オーソン・ウェルズ監督の『市民ケーン』のトップシーンです。

「新聞王」ケーンが死ぬ直前にささやいたこの言葉の謎を明らかにしようと、ストーリーが進んで行くのですが。若干24歳のウェルズは、プロデュース、監督、脚本、主演をやってのけるのですが、まさしく『天才』という言葉は彼のような人物のためにあるのですね。演劇から来た彼は優秀な仲間の俳優たちをハリウッドに連れ込んだのだけど。勿論ジョゼフ・コットンもその中の一人。その若さ故にハリウッドの業界からは誹謗中傷を浴びる事になる。しかし出来上がった映画は誰もが認める大作でした。

超広角レンズで『ディープ・フォーカス』を駆使した撮影や、時空を自由に飛ぶシナリオ、そしてラジオで仕込んだ巧みな音響効果等、映画芸術の持つありとあらゆる可能性を極限まで引っぱりだした驚くべき作品です。何度見ても初めて見たように新鮮です。
そしてこの印象的なトップ・シーンに対して、ラスト・シーンも観客を「あっ!」と言わせる程素晴らしい。(ネタばれしないよう書きませんが、)
幸いパリの映画館では毎年かならず何処かでは見る事ができます。やはり大画面でみないとこの作品の凄さは理解しづらいと思う。彼がとことんまで追求した『ディープ・フォーカス』による撮影の効果も大画面で見ると最高です。
です。映画史上もっとも偉大な映画のひとつ言われるこの作品も当時の興行は散々な結果で製作したRKO社には多大な赤字をもたらしました。
彼の次作『偉大なるアンバーソン家の人々』も素晴らしい作品ですが、試写会での不評を気にしたRKOは2時間以上あった作品を彼が不在の間に編集をし直し43分もカットしてしまいますが、映画史上の大損害といえるでしょう。
興行結果はまったくだめで、この二本の失敗で以後ウェールズはハリウッドでは肩身の狭い思いをすることになります。。。

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