2011/05/30

聖十字架の伝説 / ピエロ・デラ・フランチェスカ (1452−1466年)

アレッツォの聖フランチェスコ聖堂の中にある礼拝堂を飾るフレスコ画です。ピエロ・デラ・フランチェスカが1452年から1466年にかけて制作し、テーマは『黄金伝説』の中から『聖十字架伝』を描いてます。サンセポルクロの『復活』はこの壁画のすぐ後に描かれたそうです。



『アダムの死』このシリーズの最初のエピゾード。中央に木ががあり、右が瀕死のアダム。左がアダムの埋葬を描いてます。
右端にいる年老いたイヴの描写が凄いです。
『ソロモン王を訪れるシバの女王』中央の柱を境に左がシバの女王が渡ろうとした橋に使われた大木が『聖なる木』であることに気づく。。。そして右側はソロモン王に会った女王はその事をつたえます。
『コンスタンチヌス帝の夢』十字架を手にした天使が夢に現れ戦の勝利を伝えます。大胆な構図は時代を数世紀先を行く感じです。この光りが何処からくるのかずうっと不思議でしたが、今回実物を前にして解りました。。。
眠るコンスタンチヌス帝のそばに付き添う家臣がこちらを見つめる目が印象的です。
『コンスタンチヌス帝の勝利』かなり壁が剥げていますが、所々に見える馬のディテールが素晴らしいです。
攻めるコンスタンチヌス帝軍と逃げるマクサンティウス軍。
その間から見える風景はウルビーノの風景です。。。 ローマまで流れるテヴェル川が鏡のように空を写しこんでいます。
コンスタンチヌス帝の母である、聖ヘレナが見つけだした『本物の聖十字架』。背景にピエロはアレッツォの街をえがいてます。
描かれたるテーマの中で、この新約聖書の『受胎告知』だけは『黄金伝説』とは違うもの。しかしその大胆な十字型の構図や、アダムの墓から生えた木でできた十字架で人類の犠牲になるキリストができる瞬間を描く、その意味は聖十字架の象徴のようなものかもしれません。。。

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