2009/07/04

欲望 (BLOW UP) 1966年







最も好きな映画のひとつ、イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督のはじめてイタリアの外で撮った作品『欲望』のトップ・シーン。売れっ子ファッション写真家を上手く描いている。ただ僕はこの邦題の「欲望」はあまり気に入っていない。「BLOW UP」とは「拡大」とか「引き伸ばし」という意味の写真用語で、この話で最も重要なキーワード。
主人公トーマスがふと何の気なしにとった風景写真の隅っこに異様な形を発見し、それを究明するために、彼はどんどんその部分を拡大(BLOW UP)していき、遂にそれが死体であるとわかり、知らないうちに殺人現場にいたのである。彼がまったく気づかなくてもカメラのレンズはとらえていた。そうわかった時、彼は謎の人物に追われることになる。。。
この場面には一言の「せりふ」も「音楽」もない、まったく無言のシーンなので、ここでは観客も目で見るという事だけに集中させられます。さしずめハリウッド映画ならサスペンスを盛り上げる音楽が流れるはずだけど、アントニオーニはその妥協をまったくしていない。やはり並の監督ではない。。。



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