ヴェローナの「古いお城」にある美術館。改修設計をしたのは、カルロ・スカルパ。彼の作品でも最も代表的なものです。古い中世の建物と現代建築の融合が見事です。
古いレンガの壁とコンクリートの調和。鍛鉄の格子戸も重厚なマチエールと軽快なプロポーションの対比が彼独特だ。
格子戸は日本建築からインスピレーションを受けているけど、完全に彼の中で消化され独自の美を生み出している。
美しい打ちっぱなしコンクリートを見ると、安藤忠雄氏の作品を思い浮かべずにはいられない。
ピノー財団は駆け足で作られたものだが、カステルヴェッキオは10年近くをかけて作られている。
勿論「予算の関係」もあるのだろうが、ピノー氏は世界でも指折りの富豪家でまがりにも「アート」を扱う「文化人」だと思うと不思議に思う。。。スカルパの時代は「建築」というものが別の次元にあった時代だったのだろう。
ヴェニスのピノー財団の窓には格子戸があり、安藤氏のスカルパへのオマージュだとはすぐ解るけど、近づいてみると作りは薄っぺらでディティールもなく、そのギャップに驚いてしまう。建築雑誌の写真には綺麗に収まっているけれど。。。優秀な鍛鉄職人はヨーロッパにはまだまだいるのだから、捜せば見つかりそうなものだけど、今日では、建築家にはそういう時間も与えられないのだろう。。。
そう思うとスカルパのこの仕事がとても貴重な物に思えてくる。
もう誰もこのような仕事にお金と時間を費やす人はいないのかもしれない。
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