ジャック・ターナー監督の作品で『B級映画』の傑作として有名です。製作はヴァル・リュートン。たった3週間で撮影されました。低予算という条件からくる無駄のない演出が功をなして大変な反響をもたらします。
RKO社幹部から「猫人間」について映画を作れと命じられたリュートンは、既に一緒に仕事をしたこともあり、友人であるターナーを監督に選びます。 面白いのは、この時点でポスターが出来ていて反響を探るために発表されており、その後にシナリオを書き出した具合で、それも脚本家と共に監督はもちろんプロデューサーやその秘書なども参加して共同で書き上げられたそうです。。。
主人公イレーナ(シモーヌ・シモン)はセルビア出身でファッション・クリーエーター。ある日セントラル・パークの動物園で黒豹のデッサンをしている彼女に、造船技師オリヴァーは心惹かれる。彼女はオリヴァーを自分の家に食事に招待し、そこで彼女はセルビアに伝わる「呪われた一族」の伝説を語ります。彼女は自分もその一族の末裔と信じ込んでいて、興奮すると自分が「豹」に変貌してしまう事を恐れています。
やがて二人は結婚するが、彼女はオリヴァーと床を共にする事を拒む。彼は「呪い」から逃れるために、イレーナに精神科医ジャッドに相談するように進める。彼自身も悩みは深まり、美しい同僚アリスに相談するのだが、イレーナは彼らが楽しく会話するシーンを見てしまう。
それからアリスは一人で夜道を歩いてるときや、プールで泳いでる時に不思議な気配に脅かされるようになります。。。
イレーナはやっとオリヴァーと同じベッドに入る事を決心するが、既にオリヴァーは彼女との離婚の手続きを始めたことを伝える。。。
そして夜道を歩くアリスが後ろから不思議な気配に追われてるのに気づきます。一度は立ち止まり振り返るが誰も居ない。足を速めるも恐怖が次第に高まり、観客は「もうダメだ」と思ったその瞬間、逆方向から急ブレーキをかけて停車するバスが画面に飛び込んできます。豹の叫びのようなブレーキの音に観客は度肝を抜かれます。
いわゆる『バスの効果 Effet-Bus』といわれる技法ですが、ターナーがこの作品で発案したといわれ、以後サスペンス映画ではよく使われる技法で、この映画が『ホラー映画』の原点といわれる理由も解ります。
『B級映画』はハリウッドが当時『二本立て』で興行していた際の「前座」用の作品として上映されていましたが、この『キャット・ピープル』も当初はあのオーソン・ウェールズの『市民ケーン』の前座に使われる予定でした。でも試写会でその出来上がりに驚いた幹部はこれを単独で上映する事に決定します。13万5千ドルという低予算で仕上げたこの映画は、経済的危機にあったRKO社に当時なんと400万ドルの利益をもたらしました。皮肉にも前年度に『市民ケーン』の興行が出した大きな赤字をこの作品が埋める事になりました。
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