マネ(Edouard Manet)の作品の中でもとても好きな絵です。ワシントンのナショナルギャラリーに所蔵されてますが、パリでの企画展で何度か見た事があります。
絵の中央にいるのは柵の向こうを眺める後ろ姿の少女。「鉄道」とタイトルがついていても、この絵には肝心の機関車はなくて見えるのはその煙だけ。。。 我々は歩み寄りながら彼女の肩越しにしか見る事ができません。
少女の隣りに子犬を抱いて座りこちらを眺めているのはモデルのヴィクトリン・ムーラン。
マネは10年以上彼女を描いており、画家とモデル以上の親密な関係でもあった。彼の代表作『草上の昼食』や『オランピア』に彼女が描かれており、美術史上には欠かす事ができない「顔」です。
マネは10年以上彼女を描いており、画家とモデル以上の親密な関係でもあった。彼の代表作『草上の昼食』や『オランピア』に彼女が描かれており、美術史上には欠かす事ができない「顔」です。
そして彼女の顔の横に、つまり作品の左上の隅に、線路を隔てた向こう側の家の戸と窓が描かれています。汽車は描かれず、その代わりにクッキリと描かれたこの窓と戸の意味は。。。
これは実はサン・ラザール駅の近くにあったマネ自身のアトリエの窓です。この頃は外で絵を描くのは通例ではなかったのですが、のちに印象派の画家の仲間たちは揃って外にイーゼルを持って出かけるようになります。この作品は「アトリエから飛び出して描いた」というマニフェスト的要素があり。印象派絵画でも重要なものでしょう。。。
10年程前に実際に見に行ったことがありますが、ちゃんとこの扉と窓は残っていました。中はダンス教室のようで大きな鏡があったけど、今現在はどうなっているのか。。。
エドゥアール・マネ(1832−1883年)
鉄道/Le Chemin de fer 1873年
キャンバスに油彩
93,3cm x 115,5cm
ワシントン・ナショナルギャラリー蔵
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